大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)6134号 判決
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【説明】
本件事案の概要は、次の通りである。原告X1は、被告Yが大阪府から請負つた下水道暗渠工事現場において鋼矢板打作業に従事中、鋼矢板を吊り上げる重機を操作していた訴外Aがその操作を誤つたため、鋼矢板が地上の角材の上に落ち、その角材が原告X1に当つて、傷害を受けた。被告Yは、大阪府から請負つた本件工事を訴外Bに下請させ、Bは、訴外Cから運転手(A)付で重機一台を借入れて本件工事を行なつていた。原告X1とその妻の原告X2は、被告Yに対し、民法七一五条に基づき、損害賠償の請求をした。
【判旨】
四被告の責任について
被告が大阪府から本件下水道工事を請負つたことは既にみたところであり、被告は右工事の一部を竹中組に下請させていたことは当事者間に争いがなく、被告は竹中組に鋼矢板、コンクリート枠組を支給するほか本件工事のほとんどを竹中組に下請させたこと、竹中組は従業員約一〇名に加えて鳶職を雇い、さらに大洲重機から運転手(野本)付で重機一台を借入れて本件工事を行なつたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。
判旨右事実によれば、野本は、下請負人である竹中組の請負つた仕事を行なうにつき竹中組の指揮監督を受けその被用者と同視できるところ、下請負人の被用者が第三者に損害を与えた場合に元請負人が責任を負うためには、元請負人の指揮監督権が下請負人やその被用者らに及んでいてその間に実質的な使用関係がある場合でなければならない。
そこで、これを本件についてみるに、被告は、本件工事現場に浅野工事株式会社の看板を掲げ、現場事務所(二階建プレハブ約五〇平方メートル)を設置し、被告の従業員四名(現場代理人兼主任技術者である兼山金治、技術主任である太田賢ら補助員三名)を常駐させ、右従業員が本件工事の現場責任者としてほとんど終日現場を見回り、原告幸男らの竹中組の関係者に対して作業を指示し、かつ、安全作業上の注意を与えるなど、全般にわたつて指揮監督していたこと、本件事故による原告幸男に対する労災保険休業補償および医療補償給付は被告の手続によりなされていることが認められ、右認定の事実によると、被告の指揮監督権が竹中組に及び、竹中組の被用者と同視しうる立場にある野本は結局竹中組を介して被告の指揮監督を受けているものというべきである。
従つて、被告は野本が被告の事業の執行につきなした本件不法行為につき民法第七一五条の責任を負わなければならない。
(高山健三 鏑木重明 小川育央)